それにしたって鈍い奴といわれる訳だね、僕は。原因を知っているぶん、尚更性質が悪い。
結論から言ってしまえば簡単なのだ。「僕にそれだけの価値はない」という決めつけ。だから他人のひそやかな好意には「気付かない」し、その好意がただの、「僕というものの誤認」であると証明したがる。故に僕は僕を偽らない。「価値がない」のだから「そうである」はずはなく、それは「僕の勘違い」であり、よって「僕が話すことにあなたの好意は全く関係ない」。そうして僕は誰かを傷付ける。しかしだからといって他に何が出来よう。僕が僕であり続ける限り、そして僕への怯え故に「作られた道筋」を辿り続ける限り、あなたがたは僕には届かない。何故って、そういう風に出来ているのだ。そういう風に作ったのだ。他ならぬ僕が。僕の為に。
そして絶対。僕がある一点を見つめ続ける限りは、例え突破出来たとしても――ああ、本当に、慮って残念だが――僕には届かないのだ。決して。


完璧なはずのそれをすり抜けぶち破り、僕の荒れ野に咲いた一輪の花。ここまで来たのはこの花が最初で、そして最後になるんだろうという確信。
だからこの花以外、どうなったって構いやしない。僕は変わってなんていなかった。ただ、中心がずれただけ。
ただ、かけがえのないものが出来ただけ。