常日頃の慣習を段階的に紐解いてその源泉を手繰るのが思索やら哲学の根底であるように思うのです。僕はそんな高尚な事をしているつもりはありませんが、そう心がけていないと、いえ、心がけていても抜けたり忘れたりするのが人の性。自分を信じられないからこそ遠回り。そしてこれも独り言。


さてとりあえず滞納分の料金の半分を払って現状を凌ぐというウルトラCを極めた僕の今日の行動は、昼ごろやってきた友人の後ろに座って新宿くんだりまでドライブ。お目当ては東急ハンズあたりまで出張らないと手に入らないIMCO製のライターでございまして、こいつが本当に本当に本当に素晴らしい代物。何しろオイルライターの代名詞ZIPPOよりも先、第一次大戦の時代に、オーストリア軍が当時ボタン製作をしていたIMCOに依頼して出来たもの。その後に作られたZIPPOを初めとするオイルライターの殆どは、IMCO互換の消耗品を使っているんです。フリント*1、ウィック*2、オイルなどなど全てZIPPO社のが使いまわせるのです。今ではあまり注目されない故にシェアがなくなってしまっているというのもあるのでしょうが、なんとも悲しい逆輸入。IMCOを使うことに特別な難がないのはとても良い事なんですけれど。
そしてモノ自体は、天辺のギザギザのあたりを押し下げると一発着火。いちいち蓋を開けて火打ち車を回すZIPPOとは違います。作りはなんとも雑ではあるのですが、それもそのはず大量生産を前提にされたプレス加工の一品。持った感触はブリキのおもちゃの様な感じで、チープささえ漂っていますが中身はZIPPO以上に複雑で機械的。バネやら駆動部が持ち手の部分にある程度余裕を持たせて詰めてあります。
下部からオイルタンクを直接取り外せるようにもなっていて、火をつけてから外すと簡易ロウソクになったりもする優れもの。軍隊特有のオールインワン思想。
そしてこのオイルタンク、恐らくは弾丸をモチーフにしているのか、形状が明らかに薬莢型なんです。全体は円柱に角柱をくっつけたような形をしていて、その円柱部分から弾丸のようなオイルタンクを取り出し、オイルを入れて、「装填」するんです。この動作の間ひとしきりニヤニヤ出来そうな人がいるなら僕とあなたはきっとソウルメイト。


そんな品を六百円程度で手に入れうろついていたら、袋にお菓子を詰めて百グラム三百円というお店を発見。眺めていたら何故か袋にぎっしりクッキーが詰まっており、気がついたら会計で漱石さんもとい英世さんとお別れしている始末。だから連れて来るなと言ったんだ。誰だ僕をこんな所まで連れてきたのは。


帰り道に小腹が空いたので横浜屋なるラーメン屋へ。なかなかのラーメンを出してくれます。さっくり食べて後は先のクッキーで腹を持たせようと考えていたのですが何でか小チャーハンと餃子までセットにつけて食べる始末。頼んだシンシンメンとかいうのが想定の範囲外の辛さで瀕死になってしまったので、止むを得なく、そうです止むを得なく杏仁豆腐を食して、帰宅。いやここの杏仁豆腐が格別なんです。ラーメンよりもこっちの方がうまい。ラーメンはどうでもいい。あんなに美味しいんだから仕方がない。僕は悪くない。悪いのは大将だ。


仕事が見つけられません。

*1:火打石

*2:燃える芯