MoEにて明日明後日とイベント開催。
http://moepic.com/event_yearend/


昔々あるところにResonanceAgeというゲームがありました。独特のシステムと管理運営会社を持ったそのゲームは皆に愛されていましたが、そんなある日、そのゲームの世界にいくつかの繭が現れました。とても邪悪なオーラを放つその繭に皆が呆然としていると、突然神様から「この繭をどうにかしないとこの世界は滅ぶ」とお告げが下されました。そして神様は繭をどうすれば消す事ができるのかも、皆に告げました。
皆は愛する世界を滅ぼされるわけには行かない、と、力を合わせて繭に立ち向かいました。しかし必死の抵抗もむなしく繭は孵り、次々に同胞をなぎ倒して行きます。
最後には誰も生き残りませんでした。誰も居なくなった世界に、繭を呼び出し、皆を虐殺した悪魔の声が響きます。
「これは全て悪い夢だったんだよ。お前たちは幻の中で夢を見ていただけだったのさ」
そうしてResonanceAgeと言うゲームは突然終わりを迎えました。
ところが、暫く後に、ResonanceAgeの名を冠したゲームが発表されます。タイトルはMasterOfEpic ―The ResonanceAge Universe―。当時の住民は色めきたちました。悪い夢からは覚めた。そのまま放り出された時を、また刻み始める事ができる……。
胸を躍らせて詳細を待った住民が目にしたのは、ResonanceAgeとは名ばかりの、入れ物だけが同じな何もかもが変わり果てた世界でした。一時は落胆するも、しかし蓋を開けて見れば、以前と変わらぬ……いや、また違った意味での魅力溢れる楽園が、そこにはありました。それはまるで覚めない夢のようで、皆は今度こそ、ずっとそんな世界が続くのだと思っていました。
一つ目の予兆は、そっと忍び寄ってきました。大変に評判の悪いゴロツキが、その世界に入場料を取り始めたのです。しかしその世界がその世界であり続けるのは変わらなかったので、皆は黙って対価を支払い、世界に残りました。外海は大嵐でも、ここは穏やかで、ゆったりとした時間が流れます。また、長い時間を皆はその世界で過ごしました。
二つ目の予兆は、あんまりにも突然にやってきました。この世界はこの世界でなくなる。この世界を作り上げてきた人々が、根こそぎ消えてなくなってしまう。それも、もうすぐに。
皆は大変落胆しました。最後のしめに、と、終りへ加速する世界を必死で盛り上げようとする、「創世人」の人々の頑張りは、余計に皆の胸を締め付けます。本当に終わってしまうのか? そんな事を言っても、もう私たちは「悪夢」から覚めた筈。きっと、一本担ぎ上げて驚かそうってハラに違いない。もしかすると変わるのは本当かもしれないけど、でもそれが悪いものになるなんて限らない。皆の心には様々な思いが生まれては消えました。
誰かが微かに叫びました。
指差す先には巨大な繭。何かまた面白い事が始まるのかと目を輝かせる若者に、何かを悟ったように鈍い光をたたえた瞳で繭をじっと見つめる老人達。夢はまだ覚めていなかったのでしょうか。まだ悪夢の続きを見ていたのでは……いいえ、これは現実で、そして恐らく「予定されていた事」


まるで自らの尾を咥える蛇の如く、彼らはまた時を戻す。何もかもが変わったこの地で、何もかもが同じに見えるあの時の再現をしようとしている。一度目は夢から覚めた。では、二度目は何から覚めるというのか。
今人々に出来る事といえば、ただ固唾を飲み、繭をじっと見つめる、ただそれだけだった。