僕の近況は毎日が休日のようなもの、と言う隠居した老人もかくやという程の生活であるが、以前には夢に見たような魅力的で、怠惰で、無感動な毎日であっても、それが長いこと続けばそれ自体が以前の「日常」とさほど変わらない苦痛に似たものになってしまうというのは、予感としてはあってもよもや実感すると、何とも言いようのない、「やっぱりそうなるか」と苦笑に顔を歪める結果になってしまう訳で。
Makes No Difference、SUM41の02年にリリースされたHalf Hour Of Power収録の一曲。普段はPunkなんてあまり聴きやしないのに、こういう起き抜けから少し経ったくらいの、これからまた一日が始まるのかという憂鬱とした、それも肌寒い冬の空気が通り抜ける部屋というおよそPunkの「夏」だとか「活動」なんて雰囲気とはかけ離れた状況なのに、シャッフル再生で突然これが再生された時、ついはっとしてしまった。
こういう音楽を聴く時、僕自身とは遠くかけ離れたイメージであるのだけど、エクストリーム系のスポーツをやっている若者やら、ちょっと背伸びした悪ガキの冒険譚、のような、どこぞの外国ドラマの一幕のようなショートクリップが脳内再生されて、「あんな風なこと、やってみたいよなあ」などと実際にやらされたら泣き言を言うに違いないであろう空想をすることがある。実際にやることはないし、出来る訳もないのだけど、こういう真っ直ぐで突き抜けるような、ただひたすらメジャーのコード進行と跳ね上がるリズムで駆け抜ける曲は、羨望のような、諦観のような、不思議な感情を僕から引き出すのだ。あるいは憧憬なのかもしれない。僕とは真逆とも言える快活さ、それをただないものねだりしているだけなのだろう、きっと。
It makes no difference to me……そう、だから、僕にとってさして重要な事じゃない。ずっと前に忘れ、置き去ってきたものだ。ここには「ない」もので、必要でも重要でもありえない。少し心に響くのは、ちょっとした残響が突かれて共鳴しているだけで、ほら、今みたいに曲が変わってしまえばあっという間に失せて消える。


でもきっと……ずっと残るのだろうね。ふと聴くたびに思い出されて胸を締め付け、駆け抜けるように消え失せる。ほんの少しの懐かしさと憧憬だけ残して。