「しかし想像力ってえのは、災厄に近いものがあるもんだと思うね。地震みてえに突然閃きが走ったと思ったら、洪水よりもあっと言う間に意識をかっさらって行きやがる。その上慌てて意識の外に追いやろうとしても、いつまでもがっちりこびりついて、考えれば考える程に深く、根を張る様に付いて離れない。悪いのは、それがテメエの関心がある程強くなるって向きがあることだ。全く、性質が悪いったらありゃあしねえ」
「でも、そういうのを人は恋、って呼んだりするもんさ」
「……そんなもんかねえ」
「そんなもんだとも」