闇を視て、白を視て、薄いにじんだ光が視えて、それが夜空と、緩い息と、月の光だとようやく気付いて。
眼の内側と少し上のところに空洞を感じ、乾いて裂けた唇の痛みも、冷えて感覚の失せた指先のこともどこか他人のことの様で、浮かぶ思いはただ文字でしかなく、そしてこれは誰が書いているのか。
仄暗い部屋、ただひとつの光源は端末のディスプレイ、機械の指が這い回り、ただ、それを視ている。