そんな環境で家出当日。給料は「経営状態が悪いから」と支払われずに数日が経ち、それにも関わらず無茶な勤務を強いられたことにいい加減堪忍袋の緒が切れて、「貰うべきものも貰えないのなら行かないし、そもそも交通費すらないのだから行けない」とつっぱねたところ、「お前みたいな人間を使ってやってるだけ有り難く思え」、「金が要るならほら、拾え」と来たものだから、「使って『やっている』というのなら、そんな使えない人間じゃなく、もっと使える人間を他に雇えばいい。投げ寄越されるような金も要らない。もう金輪際あんたの元では働かない」


かくして「出ていけ」の言質を取った僕は、夕方の街に着の身着のまま、行くあてもなく家を飛び出し、残金五百円、貯蓄なし。「そいじゃ、死ぬかな」と長い長い徒歩行へと出発したのだった。

まずは今に至る経緯から書かねばならない。
遡ること先々月、仕事一つ見つけられない僕は、じり貧困窮の末に、実家へと出戻ることになった。これが、現状に続く最初の過ちだったのだ。


元々、僕と両親はそりが合わなかった。合わないという言葉の持つ意味以上に、半ば嫌悪に近い感覚といった方がより正しいだろう。
僕としては、干渉されさえしなければ、ここまで関係が拗れることもなかったと思うのだが、両親はすすんでありとあらゆる手管を使い、わざわざ僕の嫌う方法で、ことあるごとに干渉してきた。家事に始まり、家業である仕事、余暇、服用している薬に至るまで、およそ考え及ぶ限りの私生活事に嘴をはさみ、その尽くが利己的――我が子を道具か、さもなくば老後の為の先行投資とでも考えているかのような暴虐であった。
家を出る直前の話になるが、ひとつ例を挙げてみよう。
よかれと思って鼻炎用の抗アレルギー剤を父に分けてやったことがあったのだが、返ってきたのは礼ではなく「効かないからもっと強いのを貰って来い」という命令。お前に貰った抗アレルギー剤は効かないから、僕の名義で、自分の為に処方を替えて、あまつさえ自分の分を余分に貰って来い、そうのたまうのだ。処方箋の必要な薬であるにも関わらず。自分で行くのがただ面倒だからというだけで。医師の指導が必要だから処方薬なのであって市販薬とは違う、アレルギーは体質なのだから薬の合う合わないがある、だから処方を変えると僕に合わなくなる可能性がある、などと通り一辺倒の説明をしても、「それはお前の理屈だろう。お前は黙って薬を貰って来ればいいのだ」と恫喝が始まる。なににつけても万事この調子なのだ。近しい人が、「あれほど帰りたがらなかったのに」と驚く程に、僕が実家とそれに連なるものを嫌悪していた一端がお分かり頂けると思う。
僕の「話の通じない相手」に対する冷徹な態度は、ひとえにこの生物相手に培われたといっていい。

この半月、正確には三日程前になるが、僕はどん底だった。ことここに至るまで、様々な事情や偶然が折り重なり錯綜して、渦中の目たる僕にも未だに判然としない部分が多く、また僕自身、この半月の間に今までになく消耗したのもあって、口頭や宛紙の形式ではどうにもうまくない伝え方しかできないようなので、生存報告がてらに書き散らすことにした。
といっても、長々と書くことになるだろう文書のあらましは、たった一文で事足りる。
僕はただ、悲しかったのだ。

待ちに待った"Re:Mikus"はLivetuneの手がけたRemixやセルフカバー、ニコニコ動画や各Remixer諸氏のサイトで公開されたRemix曲、そして新たなRemixer陣までをも加えた超豪華絢爛激ヤバ鬼マストな一枚になりそう。……というか試聴の段階で酷すぎる。この面子を集めてこの価格も酷すぎる。どれだけ方々で、どれほどの方々が、どんなに頑張ったのか……全く想像もつかない、商業レーベルに喧嘩を売ってるとしか思えないこの一枚。バックグラウンドの初音ミクと一緒にこっちの目までパチクリパチクリ。今回は初回限定版などはないようなので、安心してじっくり当日を待って手に入れようと画策中。
その二日後には、TRIGUN同様連載終了後一年近く待たされてのHELLSING最終巻。平野耕太氏のBlogでは

3月に単行本が3冊まとめて出るのでなんかもう地獄
ほんとに地獄。

http://73714.at.webry.info/200902/article_1.html

とのことなので、後二冊出るとすると、HELLSING外伝で2冊……分にはならないだろうので、何だろう。過去作の手直し大増刷出来! とかだったらいいのに。


今年は冲方丁氏のマルドゥック完結編に、シュピーゲルシリーズの完結編その他色々と先に楽しみがありすぎで、死んでいる場合ではないとは思いつつリビングデッド化の進む自分。
眼鏡の度は合わなくなってくるし、その所為かそれとも単純に視野角か周辺視野が狭まったのかしょっちゅうふらついて転ぶし、食べても食べても太らない体質は相変わらずだし、髪の毛は白くなったり黒くなったり忙しく、一体僕の体はどうなってるんだ! と叫んでみても「そんな事よりもその飲み物に入れる砂糖の量の方がどうなってるんだ」と呆れられる始末。近頃はMAXコーヒーの販売地域が拡大してどこでもそれなりに手に入るようになったお陰で、部屋に職場に黄色い空き缶の溜まること溜まることそれはもう山の如し、あまりの暴飲ぶりに引かれること風の如し。MAXコーヒー御殿でもそのうち建てれるのではないかしらん、と砂糖漬けの頭で思いつつ、不条理と不誠実と不愉快さに耐え忍ぶ人生。
どうしてこんなに砂糖ばっかり摂る必要があるのか。考えてみれば答えは簡単で、ヒトは考える生き物で、高ストレス下に置かれた場合のそれは、現実逃避にしろそれ以外にしろ、脳はストレスに対抗すべくフル回転で思考をめぐらしてはカロリーを大量消費するものであるからして、思考停止してストレスすら棚上げすればそんなことにはならないのかもしれないけれども、そうすることでやってくる結果は、何も食べる必要のなくなったものになる他ないわけで。
どうしたらこの現実を打開できるのか――そう思考して志向して試行する結果の嗜好、シュガージャンキー。
それでも、そこまでしても上手く行かず、そして僕はまた一層、何もかもが嫌になる。
それもそうか。人生は、甘くないのだから。

このはてなダイアリーに適用してる無茶CSSの表示具合テストは、IE8は見出しのアンカーが残るが及第点。Safari4BataとChromeは根っこのWEBKITのせいなのかズレる。Firefoxは相変わらず完璧。驚いたのがOpera9.6で完全に表示された事。しかしOperaは使う気にならない、よく分からない不便利さが相変わらず。何故かファストダイアル登録しようとするとメモリエラー吐いて落ちるし謎。
結局軽くて使いやすいChromeに戻るのであった。これでCSS2の仕様に準拠してくれればなぁ。

最近は浮動している人生がさらに浮動しつつある日常。自分でもどうにもならずに悶々とする日々。実家に出戻ったり、ちょっとしたお泊り会を開いたり、夜半まであれこれと配信したりの実家ライフ。思うことは、一つ。一刻も早く引っ越したい。
ああ、話書きたいし曲混ぜたいし作曲したいし遊びたいしで、多趣味の極み過ぎる生活が破綻気味の兆候。LivetuneはRe:Mikusなんて新アルバムを出すみたいだし、引越しでただでさえマイナスの所持金が最早虚数のレベルにまで行ってるにも関わらず物欲までも絶えず。かといって彼女に会えないと死にそうになるしで自業自得の八方塞、あたまをもたげるネガティブ思考。
昔ほど頭が上手く回らなくなってきた。歳をとったのか、それとも判断材料が増えすぎて切り捨てきれていないのか。恐らくその両方で、僕はそういった状況を忌避し過ぎてきた為に絶望的に適応力が足りない。個々の問題は簡単に答えが出るのに、その答えはどれもちぐはぐで、じゃあ、とまとめて多体問題にすると今度は答えが出ない。最優先事項は決まっているけれど、極論すると「それ以外どうでもいい」になってしまってやはり手詰まり。こんなだから多くを抱え込みたくなかったんだ。一つっきりでも僕の手では精一杯なのに。それの為だけに生きられたらいいのに。僕には余分なものがつきすぎていて、それはもう切り離したら僕の意味ごと消し去るものになってしまった。僕が僕でなくなれば、たった一つもきっと失う。かといって切り捨てなければ身動きが出来ず、やはり近い将来、たった一つを失う予感がある。
失っても構わない生き方から、失いたくないもののある生き方にシフトした時に予想できた齟齬。時間でどうにかなると思った。その場に立てばどちらに行けばいいか分かると信じていた。いざ立ってみて、何処から来たのかすら分からない自分に気付き、そして僕は消え失せる。虚無だけを残して消え失せる。
そんなのは、嫌だ。